「ピープルウェア(第三版)」を読んだ
「ピープルウェア(第三版)」を読んだので感想を書きます。
https://www.nikkeibp.co.jp/atclpubmkt/book/13/P85240/
ピープルウエア 第3版
●ソフト開発の現場で多くの熱い共感を呼んだ名著!開発プロジェクトで技術よりも何よりも大事なもの--それは「人」。一人一人の人格の尊重、頭を使う人間にふさわしいオフィス、人材の選び方・育て方、結束したチームがもたらす効果、仕事は楽しくある
どんな本?
「ソフトウェア開発上の問題の多くは、技術的というより社会学的なものである」というフレーズの通り、 ソフトウェア開発の技術ではなく人・チーム・組織について考察した本です。
内容
各章ごとにざっくりと内容をまとめました。
第Ⅰ部 人材を活用する
- (第2章)間違いを恐れさせない。
- (第2章)プロジェクトには「触媒」の役割を果たす人が必要である。
- (第3章)厳しい期限と残業では部下は退職してしまい、質の高い仕事はできない。
- (第4章)品質を第一とする。
- (第5章)パーキンソンの法則を逆手に取って厳しい期限を設定すれば仕事が終わるわけではない。
- (第6章)マネージャーは生産性の向上のために安価で役に立たない解決策に飛びついてしまう。
第Ⅱ部 設備警察
- (第7章)設備警察は画一的なオフィス環境を作りがちである。
- (第8章)プログラミングコンテストの上位入賞者のオフィスは静かで集中できる環境だった。
- (第9章)オフィス投資をケチると開発者の生産性は落ち、節約分がとんでしまう。
- (第10章)机の前に何時間座っていたかという肉体労働時間ではなく、全神経を集中して仕事に取り組んだ頭脳労働時間が重要である。
- (第11章)eメールの利点は紙を節約できることではなく、電話と違って仕事に割り込んでこないことである。
- (第12章)マネージャーは、画一的な開放型オフィスではなく、従業員が集中できる作業環境を用意すべきだ。
- (第13章)著者らは組み立て式オフィス・窓・屋内と屋外のスペース・共有スペースという4つのパターンを提案しているが、アレクサンダーのパターンと共通するのは全く同じ作業環境は生まれないという公式への信頼である。
第Ⅲ部 人材を揃える
- (第14章)ボーンブロワーを描いた小説ほどではないにせよ、マネージャーが部下を変えるというのはほぼ不可能なので、最初に人材を揃えることが何よりも重要である。
- (第14章)エントロピーは組織内では常に増加する。
- (第15章)リーダーシップは指揮官ではなく触媒である。
- (第16章)人材の見極めのためにオーディションを実施する。
- (第17章)人材の多様性によって新たな豊かさがもたらされる。
- (第18章)若い世代との違いについて理解、適応する。
- (第19章)退職率を低く保つ。
- (第20章)人への投資は経費ではなく、会社の未来への投資である。
第Ⅳ部 生産性の高いチームを育てる
- (第21章)チーム編成の目的は、目標を一致させてチームを結束させることである。
- (第22章)ブラックチームは結束したチームの一例である。
- (第23,24,25章)チーム殺しの7+2+1つの秘訣は、守りのマネジメント・官僚主義・作業場所の分散・時間の分断・製品の品質削減・はったりの納期・チーム解体の方針・動機づけのためのアクセサリー・残業・チーム内の競争である。
- (第26章)優れたマネージャーはチームを全体として成功させるためにチームに小さな機会をちょくちょく提供する。
- (第27章)裃を脱ぐマネジメントスタイルとは、部下を信頼して自分の評価の一部を委ねることである。
- (第27章)マネジメントを自然に備わった権威により実施する。
- (第28章)マネージャーは健全な化学反応を生み出し、維持することに自分のエネルギーを費やす。化学反応とは、品質至上主義・打ち上げ・エリート感覚の醸成・異分子を混ぜる・成功しているチームを維持する・戦術でなく戦略を与えるなどである。
第Ⅴ部 肥沃な土壌
- (第29章)決定論的なシステムを作ると結果としてシステムの自己修復能力が失われる。メソドロジーを重視しすぎるな。
- (第30章)リスクが発生したときに適切に緩和できるよう、リスクマネジメントを実施してあらかじめ計画して準備しておく。
- (第31章)意味のある会議とは何かを目的として招集される会議であり、それ以外は意味のない会議である。意味のある会議に招集するのは利害関係者だけに絞るべきである。
- (第32章)マネジメントにおける究極の罪は人の時間を浪費することだ。
- (第33章)FYIのメールはスパムだ。
- (第34章)人は変化を嫌う。「信じているが質問あり」の人たちを味方につける。変化には「混乱」が避けて通れないことを意識する。
- (第35章)組織の学習能力は、組織がどの程度人を引きとめておけるかで決まる。
- (第35章)組織的な学習は中間管理層で起きるが、中間管理職同士がうまく連携できないと学習はできない。
- (第36章)コミュニティ作りに成功した組織は、退職者があまり出ない。
第Ⅵ部 きっとそこは楽しいところ
- (第37章)パイロットプロジェクト、ブログラミングコンテスト、ブレーンストーミングなどで小さな混乱を建設的に導入する。
- (第38章)「自由電子」となるような人には自由に仕事をさせる。
- (第39章)変革を進める場合、一人で行動するのではなく、社内のホルガーダンスクを起こす。
感想
過去一度読んだことがあったが全く内容を覚えてなかったのでふと思い立って読み直しましたが、 他の本でも似たようなことが書いてあったような?と感じる内容が多いと思いました。 当時この内容の本が出版されたということが画期的だったんだろうと思います。
オフィス環境にまるまる一部を割いて書いていますが、自分は完全にWFHなのであまり有益ではなくなってしまった。 確かに過去働いてきた全ての会社でオープンオフィスだったので電話の音や周りの人の声もあってイヤホンが手放せませんでしたが、 WFHでは雑音から解放されているのだなとあらためて思いました。
古いとはいえ人・チーム・組織というどの時代でも普遍のテーマに着目しているので、今読んでも損はないと思います。