「デッドライン」を読んだ
「デッドライン」を読んだので感想を書きます。
デッドライン
どんな本?
トム・デマルコ著のプロジェクト管理に関する小説です。 モロビア共和国という架空の国を舞台に、複数のソフトウェア開発プロジェクトのマネジメントに奮闘するキャラクターたちを描きながら、プロジェクト管理の肝を紹介しています。
登場人物
後で読み返したときのために登場人物の名前と役割をメモしておきます。
- ウェブスター・トムキンス: 主人公。モロビアでプロジェクトマネージャーを務める。
- ラークサー・フーリハン: ヒロイン。トムキンスをモロビアに拉致する。
- ベリンダ・バインダ: 優秀なプロジェクト管理者。バーンアウトによりモロビアで路上生活(バッグ・レディー)をしていた。
- ガブリエル・マルコフ: モロビアの元将軍。
- アリストテレス・ケノロス: モロビア最初のプログラマー。
- NNL: モロビアの国家大総統。
- アレア・ベロック: モロビアの内務大臣。トムキンスたちにプレッシャーをかけるなどして邪魔をする。
- ウォルドー・モンティフィオレ: トムキンスの専属アシスタント。後に昇進する。
感想
トム・デマルコが「ピープルウェア」の次に執筆した書籍のため(「ピープルウェア」が1987年、「デッドライン」が1997年)、人が第一であるというスタンスは「ピープルウェア」に引き続き一貫しています。
各章の最後に、トムキンスが日記にメモした文章を引用する形でプロジェクト管理の肝が紹介されており、この部分をハイライトしておけば後で読み返す際に便利そうです。
紹介されているプロジェクト管理の肝については大部分が同意できるものであるものの、第12章で「すべての製品のサイズを測定せよ」と書かれておりこの点については個人的には疑問でした。 トムキンスたちが携わるプロジェクトは競合のコピー製品を作るプロジェクトなので、あらかじめ計画をたててサイズを測定するということも可能なのかもしれませんが、何を作るか正解が無いことが多いこの時代にはやや合っていないのかなと思いました。
時代に合っていないという点では、いかんせん原著の初版が1997年なので今となっては古くなってしまった記述も仕方ないながらあります。ソフトウェアをCDに焼くために工場を建設するなど。CMM (capability maturity model)も自分は全く聞いたことがありませんでしたが、業界によるのかな?
技術書ではなく小説なので、プロジェクト管理について体系立って書かれているわけではありませんし、小説らしい非現実的な設定も多々あります。 あくまで小説として楽しく読むのがよいと思いました。